世界はコンピューティング能力の競争の新時代に突入しており、AIサーバーの需要が爆発的に増加している。サーバーと関連部品の製造は台湾産業界の強みであるため、台湾はAIの新時代で大きな勝者となる可能性を秘めている。特集『エヌビディア AI王者と台湾の黒子』(全7回)の#5では、部品産業などAI関連の注目企業23社をまとめた。(台湾「財訊」 劉志明、翻訳・再編集/ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
AI高性能化で部品需要も増加
台湾が迎える“黄金の10年”
台湾経済が国内総生産(GDP)「2%成長」達成を危ぶまれる陰で、米エヌビディアのジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)は台湾にAIのビジネスチャンスをもたらした。フアン氏は台湾で開催された国際展示会「COMPUTEX」で、「地球で最強のAIスーパーコンピューター『DGX GH200』が台湾で誕生する」と発表した。
出荷が優先されるのは2社で、米スーパーマイクロと台湾のクアンタ・コンピュータ(広達電脳)だ。世界はコンピューティングパワーを競う新時代に突入し、より高性能な計算処理を求める企業にとって、台湾は最良のパートナーだ。台湾の経済回復に向けたカンフル剤になる。
世界のサーバー市場は約1400万台。AIサーバーはまだ開発の初期段階にあるものの成長が見込まれる市場で、関連サプライチェーンの80%以上は台湾の産業界によるものだ。台湾のAI関連機器の出荷は、今後“黄金の10年”を迎える。
将来的にはIoT(モノのインターネット)やクラウド、医療、工業などの各産業において、さまざまなレベルのAIサーバーが必要となる。成功の鍵は強力な計算処理能力だ。AIサーバーの高性能化に伴い、関連部品の需要も増加する。高速伝送や熱対策、効率的なデータ通信などの技術が、効率化のポイントになる。新規格のAIサーバーと同時に、新製品を投入することで、台湾企業は最大の勝者になる可能性が高まる。
昨年12月に米OpenAIが公開した生成AI「ChatGPT」は世界にAI投資ブームを引き起こし、投資額は数百億ドル規模で膨れ上がった。AI旋風でエヌビディアの株価は今年170%以上急騰し、スーパーマイクロも今年160%以上急騰。投資ブームは台湾にも波及している。
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