半導体、電子部品各社の東北への投資が最近、相次いでいる。国内生産の強化、人材確保などをめざしたものでそんな1社、アルプスアルパインの宮城県大崎市の新社屋が完成。働きやすい環境整備や、より分かりやすい拠点のネーミングなども工夫。東北から世界に通じる技術開発をめざす。25日にあった開設記念式では、次期トップが、スティーブ・ジョブズもリスペクトした自社の技術の歴史などを紹介し、アピールする場面もあった。
式には、産官学の関係者ら約100人が集まった。次期社長が内定している泉英男常務執行役員らが登壇し、新拠点をアピールした。
拠点は、東北新幹線の古川駅前という好立地、同社は仙台にもソフト関連の拠点を構えており、仙台周辺は「仙台開発センター(仙台)」と、今回新棟ができた「仙台開発センター(古川)」の2拠点体制になった。
3号館は延べ床面積約2万2000平方メートル(4階建て)で、最近流行のABW、フリーアドレスなど、社員の柔軟な働き方や交流を促すデザインを採用した。さまざまなセンサー、非接触操作デバイスといった最先端設備を取り入れ、内外のシナジーを図る仕組みも盛り込んだ。総事業費は約100億円、うち8割ほどが社員らの発案を生かした設計などに充てられているという。
拠点を設けた一つの背景は、人材不足。そこで、エンジニアらが働きやすい環境を、社員の声を踏まえて設計した形だ。
また、再生可能エネルギーなど環境配慮の設備を導入し、Nearly ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)も実現。この規模の施設で、高水準で実現したのは東日本初とみられる。
〇アップルとも縁
同社は、泉常務執行役員が社長に昇格する人事を内定し、発表したばかり。登壇した泉氏は、技術を担当する立場から同社の沿革に触れつつ拠点を紹介した。その中では、創業者ジョブズ氏以来のアップルとの関わりも披露。フロッピーディスクの全盛期、同社の技術でドライブの小型化に成功し、ジョブズ氏もこれを称賛。何度か工場も訪れ、講演もした逸話もある。また、マウスをいち早く手掛けるなど、「世界初」「オンリーワン」の技術を多数開発してきたことも紹介した。
アップルとの縁でいえば、その後も「スマホの電源ボタンやアクチュエーターなどで、技術が引き続き活躍しています」と訴求。「東北発」で世界に通じる技術開発に、改めて意欲を示した。
式には大学や高専など、産学連携と共に「人財」を輩出する格好の代表も多く招かれていただけに、教員層、ひいては学生らへのアピールの思いが感じられた。
拠点の改称も、人材確保への思いがにじむ。古川は交通の便は良いが、仙台近郊ということが意外に知られていない。そこで、地元の市の了解も得つつ、「仙台開発センター(古川)」という、地名を併記する形に改称した。仙台から近い場所と分かれば、より多くの人材に着目してもらえるのでは、との見立てもあるもようだ。
(26日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)
からの記事と詳細 ( 2023.05.25 電子部品各社、東北に重点投資 アルプスアルパインが新拠点 次期社長、ジョブズとの縁も披露 - 電波新聞社 )
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