練習はきつかった?
(大久保)
きつかったですね。
午後5時になったら、ここに「エーデルワイス」の音が流れるんですよ。
5時ですよっていう。それが鳴ったときに小嶺先生が「ランニングシューズに履き替えろ」って言われて。そのときの走りがいちばん嫌でした。
ほんとに嫌で、毎日が怖かった。
(木花)
5時からずっとというのは、具体的にどのくらいでしょうか?
(大久保)
2時間くらい、2時間ないくらいかな。それくらいは走り続けてましたね。ほんと、倒れて記憶飛ぶ人も何人もいましたから。
時代も時代でしたし、それだけ怖いというか、嫌でしたね。
(木花)
その嫌な練習っていうのは、どういうモチベーションで大久保さんは耐えていた、耐えていたのかは分からないですけど、こなしていたんですか?
(大久保)
いや、僕は走りながら、どこで妥協しようかなとか、ここで妥協したら、もう走らなくていいって思いながら走るんですけど、プロになるためには、これは通っていかないといけない道なんだなって思いながら、絶対、俺はプロになるんだ、これがあとあと自分のためになるんだと思いながら、ひたすら走ってましたね。
簡単には妥協はできない。妥協はほんとに一回もしたことなくて。
妥協するっていうのを考えるくらいだったらまだまだ行けるなっていう。たぶん、だめなときはほんとに体が勝手に止まると思うんですよ。
練習を積み重ね1年が過ぎたころ、大久保さんにチャンスが訪れます。
(大久保)
僕が2年生のときに、僕は、応援やってたんですけど、「一回出られるか?」「Aチームで出られるか?」って言われたときに、「はい、やります」って言ったんです。
(木花)
大久保さんがスタメンで?
(大久保)
スタメンで。
しかも、自分がやったことないポジションでして。
そのポジションはトップ下。ずっとフォワードをやってきた大久保さんにとって経験したことがないポジションでした。
トップ下としての動き方がわからなかったといいます。
(大久保)
先生やコーチに、聞いたことで「こいつできないのか」って思われるのも嫌だったので、ぎりぎりまで聞かなかったんですけど。ほんとに試合直前に、やっぱり、聞かないと不安で、よけい、自分がだめになるんじゃないかと思って最後は聞きましたね。それがよかったのかもしれないです。
その試合で点を4点取りまして、そこからですよね。その4点を取ったことによって、自分に自信がついたというか、「俺、やれる」っていう自信がついて、そこから一気に行きましたね。
(木花)
その試合で4点取れた理由、まさに自信がついた理由っていうのは?
(大久保)
中学校から親元離れてこつこつやってきて、そのチャンスをものにできたので。
たぶんあれだけの部員がいて、1回しかチャンスがない中でつかめたのは、本当に練習をやってきたからこそだったと思います。
(木花)
自信がついていく中で、動きっていうのは変わってきましたか?
(大久保)
変わってきますよ。サッカーに正解はないんですよ。正解はないんですけど、自分が思ったように動けるようになる。
その前までは、ここに動いて大丈夫なのかな、ここでいいのかなっていう思考になってたんですけど、それが、自分からそこに行くっていうか、ここがいいんだっていうのを示せるようになりましたね。
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