(写真:Andrea Verdelli / Getty Images)
日々衝撃的な現実が伝えられるロシアによるウクライナ侵攻に世界の耳目が集まっている。そうした中、着実に今後の世界のパワーゲームへの手を打っているのが中国だ。
経済規模で見れば中国はロシアの10倍程度ある。経済制裁を受けたロシアは今後、中国に依存せざるを得ず、中国のジュニアパートナーにすぎない。世界秩序は確実に「米中対立」から「西側対中ロ」へと向かっている。それを前提にした中国の動きを経済面から見てみよう。日本企業も無警戒ではいけない。
メディアが見落とす中国の産業戦略
3月上旬、中国の全国人民代表大会(全人代)が開催された。その初日に李克強首相によって政府活動報告が発表された。経済関係では、日本での報道は「2022年のGDP(国内総生産)成長率目標を5.5%前後と設定した」とマクロ経済ばかりだ。その結果、重要な産業戦略を見落としている。
「製造業のコアコンピタンスの強化」がそれだ。「原材料、重要部品などの安定供給を強化し、リーディングカンパニーによる産業チェーン・サプライチェーンの安全・安定を守る」としている。
対象分野を明確にし、中国が製造業のボトルネックを抱えるサプライチェーンの川上の「原材料・重要部品」分野での取り組みを強化するとした。
習近平政権はこれまでも「軍民融合」の方針のもと、軍事力の強化と産業競争力の強化を一体で進め、重要産業を戦略的に国産化する方針であることはわかっている。
半導体、電子部品、新素材、工作機械、ロボット、高性能医療機器、モーター、磁石など重要産業をリストアップし、産業ごとに獲得すべき技術を挙げて戦略を策定している。
例えば、昨年1月には電子部品産業について具体的なターゲットの分野、技術をリストアップした戦略を発表している。いずれも日本企業が競争力を有する分野だ。
ロシアに対する経済制裁を注意深く観察して、将来、自国に対する経済制裁にも備えて、この方針を一層加速させるだろう。
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