自動車メーカーの業績回復が鮮明となる一方で、部品メーカーの経営悪化は深刻な状況にある。こうしたなか、自動車部品大手のマレリ(旧カルソニックカンセイ)が私的整理の一つである事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)を前提に金融機関との調整に入るなど、コロナ禍を発端に事業環境の悪化が際立ってきた。部品メーカー各社は生き残りをかけた正念場を迎えている。(東京商工リサーチ情報部 増田和史)
回復傾向の自動車メーカーと
苦境が続く自動車部品メーカー
マレリ本社(東京商工リサーチ撮影)
自動車メーカー大手8社(トヨタ、ダイハツ、スズキ、マツダ、ホンダ、日産、スバル、三菱自)の2021年の国内生産台数は、前年比4.2%減の739万台で3年連続前年を割り込んだ。
前年の落ち込みが大きかった三菱自を除く7社が前年実績を下回り、スバルとホンダの減少率は2ケタに落ち込んだ。世界的なコロナ禍で半導体に代表される海外からの部品調達がスムーズに進まず、サプライチェーンの乱れも減産に追い打ちをかけた。
ただ、2月に各社が公表した2021年4~12月期決算は、7社(ダイハツ・トヨタは合算)のうち、6社が増収、全7社は増益と回復を見込んでいる。前年同期は日産と三菱自は赤字決算だっただけに、自動車メーカーの復調を印象付けた。
自動車メーカーの業績回復は、コロナ禍に沈んだ前年の反動のほか、円安や固定費の圧縮などが背景にある。このため各社とも楽観的な見通しは少なく慎重姿勢を崩さないが、7社のうちスバルを除く6社が2022年3月期の通期決算でも増収増益を見込んでいる。減産が長引いても完成車メーカー各社の業績は回復が鮮明だ。
だが、完成車を支える自動車部品メーカーに目を転じると様相は異なる。
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