そして11分、MF相馬勇紀がファールを受けて得たPKをMF堂安律が決め、たちまち追加点。その後も日本は、次々に中盤でボールを奪ってはカウンターを仕掛けた。日本が組織的な守備で試合の流れを引き寄せたことは間違いない。MF遠藤航が語る。 「プレッシャーのかけ方がよかった。南アフリカ戦は(林)大地とタケ(久保)が2トップの形になって(相手の)アンカーが空いてしまったが、今日はタケがうまくアンカーを消していた」 ただ、これだけだと、いかにも弱者が事前の分析を駆使してうまく戦ったかのように聞こえてしまうが、決してそれだけではなかったところが、冒頭にも記した「こんな勝ち方もできるのか」につながるのである。 この試合、日本は1対1の守備の場面でも、遠藤やDF酒井宏樹を筆頭に、力強くボールを奪い取ることが多く、しかも、奪ったボールを自らドリブルで運ぶ。あるいは、前方のスペースへパスを出した時でも、受け手の選手がスピードで相手ディフェンスを振り切る。そんなシーンが目についた。 要するに、1対1の局面で確実に勝利を積み重ねていった結果、試合の主導権を握ることに成功していたのである。 これまでの日本を振り返ると、こうした大舞台で組織的に戦い、善戦こそするものの、最後は相手の高い個人能力に屈してワンチャンスを決められる。こんなにも簡単に点を取られてしまうのか――。そうした苦い経験は、一度や二度ではなかった。 だが、この試合の日本は、むしろ逆の立場だったと言っていい。 先制点の場面が象徴的だ。複雑な連係を駆使したわけでもなく、DFラインで左から右へとつないだボールを、酒井がシンプルに同サイドの背後へと送ると、そこへ走り込んだ堂安がワンタッチでゴール前へ。決して簡単なクロスではなかったが、久保が相手DFと競り合いながらも、難なく仕留めてしまったのである。
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