BRZは今夏に、GR 86は今秋に発売
TOYOTA GAZOO Racing（トヨタ自動車）とスバルは4月5日、共同開発する新型スポーツカー「GR 86」「BRZ」のプロトタイプを公開した。BRZは今夏に、GR 86は今秋に発売される予定。
軽量、コンパクト、低重心を追求したスポーツカーとして86とBRZは2012年にデビュー。FRならではの操舵感を得るための前後重量配分53：47、直噴技術「D-4S」に加え圧縮比を12.5と高めに設定することで、幅広い回転域で高出力＆大トルクを得られる水平対向4気筒 2.0リッターエンジン、低重心を徹底的に追求したパワーユニットをフロントミッドシップ搭載するパッケージング、吸気音をコクピットにダイレクトに導入する吸気サウンドデバイス「サウンドクリエーター」といった、スポーツカーとしての魅力が詰まったモデルとして大きな注目を浴びた。
今回発表された新型GR 86とBRZは、初代と同様に共同開発で生み出されたモデルとなるが、トヨタが企画とデザインを、スバルが開発設計と評価を担当するなど役割分担を明確にした。そして両モデルで個性をより追求しようということで、新型GR 86では「スポーツ性能に特化したさらなる高い次元でのダイレクトで気持ちのいい走り」を、新型BRZでは「誰もが愉しめる究極のFRピュアスポーツカー」を目指したという。
両モデルのパワートレーンは、従来の水平対向4気筒 2.0リッターエンジンを2.4リッターに排気量アップ（エンジン型式はFA24型）させ、より動力性能を向上。最高出力は173kW（235PS）/7000rpm、最大トルクは250Nm（25.5kgfm）/3700rpmへと高められている。トランスミッションは従来どおり、6速MTまたは6速ATから選択できるが、中でもパドルシフト付きの6速ATではスポーツ走行に最適な変速制御を行なう「スポーツモード」が搭載されており、6速MTのみならずAT車でも“誰もが楽しめるスポーツカー”を具現化しているという。
また、SGP（スバルグローバルプラットフォーム）の開発から得たノウハウを取り入れ、さらにインナーフレーム構造や構造用接着剤などの採用によりボディを再構築することで、初代モデルに対してフロント横曲げ剛性を約60％、ねじり剛性を約50％向上。さらにルーフ、フード、フロントフェンダーに軽量アルミを採用し、エンジン出力や安全性の向上に伴う重量増を抑制するとともに、前後左右重量の適正化やさらなる低重心化を図り、運動性能を向上させている点も先代からの大きな進化と言えよう。
なお、撮影した新型GR 86とBRZの内外装における主な仕様違いは以下のとおり。グレードは明らかになっていない。
アイサイトのカメラはver.3
一方、新型GR 86とBRZでは6速AT車に運転支援システム「アイサイト」を標準装備したのがトピックの1つになっており、カメラはカラー画像化によってブレーキランプの認識などを実現した「アイサイト ver.3」相当を使用するという。
具体的に実現している機能としては、前方の車両に加えて歩行者や自転車を検知し、衝突の危険を判断するとドライバーに警告を行ない、回避操作がなければブレーキ制御で減速または停車して衝突回避および被害軽減を図る「プリクラッシュブレーキ」、設定車速によるクルーズ走行に加え、先行車がいる場合は一定の車間距離を保って追従走行を行なう「全車速追従クルーズコントロール」、車線内での自車のふらつきや走行中に車線からの逸脱を検知すると、警告音と表示でドライバーに注意を促す「車線逸脱警報」、先行車の発進をアナウンスと表示で知らせる「先行車発進お知らせ」、リアバンパーに装着されたソナーセンサー（超音波センサー）が後方に存在する障害物を検知し、ドライバーに音と表示で段階的に注意を促すとともに、回避操作を行なわない場合はエンジン出力を抑えつつブレーキ制御を行なって衝突回避および被害軽減を図る「後退時ブレーキアシスト」、車線変更や後退時に危険を知らせてくれる「スバルリヤビークルディテクション（後側方警戒支援システム）」といった機能が備わる。
ただし、スポーツカーで重視されるドライバビリティや軽量化、価格抑制の観点からステアリングアシスト機能はカットされている。また、全車速追従クルーズコントロールについては新型ではサイドブレーキが手引きのため、停止保持は3秒までとなっている。
今回報道陣に公開された取材会ではまだ非公開の部分が多く、シャシー、エンジン・パワーステアリング制御といった点で具体的にどのような差別化が図られているのかは不明だが、発売日が近づくにつれて明らかになっていくだろう。
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