[香港 5日 ロイター] - 中国サッカーの「スーパー(超級)リーグ」(CSL)が2021年シーズンの開幕を迎える頃、リーグの状況は、昨年12月初めに江蘇蘇寧が広州恒大淘宝を破って初タイトルを獲得したときとは大きく変わっているだろう。
4月に予定される開幕に先立って、中国サッカー協会は2年前に検討が始まった「中立名称ルール」の導入を決定した。プロチームは、チーム名及びエンブレムから企業スポンサーを示す要素を排除しなければならない、という規定である。
<巨額の選手スカウトに歯止め>
この10年の大半を通じて、サッカーに関与しようという企業の熱が高まり、それに伴って国内外のスター選手獲得に向けて巨額の資金が動くようになった。今回の措置はこの流れに歯止めをかけようとする試みとされているが、反応はさまざまだ。
5つのクラブ、すなわち天津泰達、北京国安、上海申花、河南建業、杭州緑城のサポーターグループは結束し、協会に対し、各チームにもっと選択の余地を与えるよう働きかけている。
上海申花のサポーターであるリュー・シャオミンさんは、「協会がサッカーを大切に思い、その文化を理解していれば、20年も変わらず使ってきた名称を変更する必要はないはずだ」と話す。
北京国安のサポーターらは資金を出し合い、クラブ名称の存続を願って、バスの側面に挑戦的な意見広告を掲げた。河南建業のサポーターは、スタジアムの外で抗議行動を起こしている。
天津泰達のサポーターであるサム・ワンさんは、過去に同クラブでプレーした外国人選手に声をかけ、運営側にクラブの歴史を捨てないよう求める動画を制作した。
この動画には、元ウルグアイ代表のグスタボ・マトサス氏やエイドリアン・パズ氏、元チリ代表のルイス・ビジャヌエバ氏の姿もあった。
ワンさんは、「サッカーは、労働者階級に支えられた人民のスポーツであるべきだ。今回のような強制的な名称変更があれば、私が中国のサッカーに抱いていた印象が完全に変わってしまう」と話す。
<チーム名は我が歴史>
一部のクラブでは、スポンサー企業の名称を外すことを求める圧力は、チームがもっと伝統的なあり方に回帰する道を開くポジティブな動きだと受け止められている。
昨年の中国FAカップの覇者である山東魯能は先日、2021年に向けて名称を山東泰山とする決定を発表した。CSL発足前の名称に戻す動きである。
アジアチャンピオンに2回輝き、過去10年の中国サッカー界でも最有力クラブだった広州恒大淘宝は広州FCとなり、同じ年のライバルである広州富力は「広州城」と改名した。
どちらのクラブも、オーナーは大手不動産開発企業である。
2019年にはレアルマドリードからガレス・ベイルを獲得しようとして失敗したことで話題になった現王者の江蘇蘇寧は、すでにオーナー企業の名称を外し、今後はシンプルに江蘇FCと呼ばれることになる。
現在の名称をそのまま維持すると予想されるのは、上海申花1チームだけである。中国サッカー界における長年の地位と、オーナーが何度か代わってきたにもかかわらず、2001年以降、名称を変更していない事実が背景にある。
天津泰達サポーターのワンさんの場合、天津泰達が「天津津門虎」に名称変更するという発表を聞いて、もう応援することはできない、と感じたという。
「あの名称は私にとっての歴史だ。私が応援していたクラブは消滅してしまった」と彼は言う。「とても辛い思いだ」
(翻訳:エァクレーレン)
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