先週の金融市場混乱を受けてトレーダーが唯一注目しているのは、各国・地域の中央銀行が債券利回り急上昇にどのように反応するかだ。
週明け1日の市場でリスク選好を判断する上で重要となるのが、中銀が講じる可能性のある政策対応を市場がどのように予想するかだ。先週は米10年国債利回りが昨年8月のほぼ3倍の水準まで急上昇した。
この動きは、インフレ加速を投資家が懸念し始めている状況を浮き彫りにした。物価加速を受け、米金融当局や各国・地域の中銀が 予想よりも早く政策を引き締めかねないためだ。S&P500種株価指数は週間ベースで昨年10月以来の2週連続下落となったほか、主要7カ国(G7)通貨のインプライドボラティリティー(IV、予想変動率) は、昨年6月以来の大幅上昇となった。
AMPキャピタル・インベスターズのダイナミック市場責任者ネイダー・ナエイミ氏は、「市場は気の弱い人には向かないような状況に移行しつつある」と指摘し、米国債相場下落への賭けを続けると付け加えた。 「現在の焦点は米金融当局など各国・地域の中銀だ。中銀が最近の債券利回り上昇に警鐘を鳴らした場合、利回り曲線はフラット化し始めるだろう」と述べた。
債券市場の混乱にもかかわらず、先週末は月末の買いや政策当局者による市場沈静化の試みの中で、若干落ち着きが見られた。欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル理事は、国債利回りの上昇が成長を損なうならば、追加の金融緩和措置を打ち出す必要があるかもしれないと 発言。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は利回り上昇について、経済見通しに対する「確信の表れ」だと 指摘した。
米10年国債利回りは2月25日に1.60%を超える場面もあったが、結局、1.40%で先週の取引を終えた。
それでも、投資家はもっと安心感を与えてほしいと期待しながら、この数日間に行われる当局者発言を注視することになりそうだ。パウエル議長は4日に米経済について発言予定で、16、17両日の連邦公開市場委員会(FOMC)前では公の場での最後のコメント機会となる可能性が高い。他の当局者も相次いで発言する予定だ。
原題: Traders on Yield Watch in Bond Markets ‘Not for Faint-Hearted’(抜粋)
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