ディスカウントストア大手の「ドン・キホーテ」の運営会社の前社長が、TOB=株式公開買い付けなどの内部情報が公表される前に、知人に自社の株を購入するよう勧めたとして金融商品取引法違反の取引推奨の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。関係者によりますと知人は株の売買で数千万円の利益を得たということで特捜部などは詳しい経緯を調べています。
逮捕されたのは「ドン・キホーテ」の運営会社で当時の「ドンキホーテホールディングス」の前社長大原孝治容疑者(57)です。
「ドンキホーテホールディングス」はおととし10月、TOB=株式公開買い付けで、流通大手の「ユニー・ファミリーマートホールディングス」のグループ会社になることなど、両社の連携を強化する計画を発表しましたが、東京地検特捜部によりますと大原前社長はこの計画が公表される前のおととし9月、知人の男性に自社の株を購入するよう勧めたとして金融商品取引法違反の取引推奨の疑いが持たれています。
知人は、9月上旬から10月上旬までの間に7万6500株をおよそ4億3000万円で買い付けていたということです。
金融商品取引法では上場企業の役員などが、株価に影響する企業の内部情報の公表前に、株を売買するインサイダー取引のほか、内部情報を伝えずに利益を得させる目的で株の買い付けなどを勧める行為も取引推奨として禁じています。
関係者によりますと知人は買い付けた株を高値で売り抜け数千万円の利益を得たということで、東京地検特捜部と証券取引等監視委員会は詳しい経緯について実態解明を進めるものとみられます。
大原前社長は逮捕前の任意の調べに対し、不正を否定していたということです。
「取引推奨」とは
金融商品取引法の改正で6年前から新たに刑事罰や課徴金の対象となり、情報の内容を伝えていなくても相手が株を売買すれば、5年以下の懲役や500万円以下の罰金などが科されます。
証券取引等監視委員会によりますとこれまでに刑事告発されたのは、東証1部上場の電子部品メーカーの元社外取締役が知人4人に株の買い付けを勧めたとされる1件で、ほかに行政処分の課徴金が命じられたケースが6件あるということです。
しかし、「取引推奨」がインサイダー取引規制の対象になっていることは企業の間で周知が進んでおらず、昨年度、監視委員会が課徴金勧告を行った3件のケースでは、いずれの会社も社内規定に「取引推奨」についての記載を盛り込んでいなかったということです。
監視委員会は、「『取引推奨』によって刑事罰の対象になれば、企業は投資家や消費者から厳しい目が向けられ、結果として市場からの信頼を失う可能性が高い。『取引推奨』についての理解が不足していないか社内の管理態勢を確認し防止に努めてほしい」としています。
ドンキホーテHDの株価推移
特捜部の調べによりますと大原前社長は、この年の8月上旬ごろにTOBなどの情報を知ったということで、公表前の9月上旬から下旬までの間、知人の男性に複数回にわたって「ドンキホーテホールディングス」の株を購入するよう勧めたということです。
知人は9月上旬から10月上旬までの間に、およそ4億3000万円で7万6500株を買い付けたということです。
10月11日の連携強化策の公表後、前日に6050円だった「ドンキホーテホールディングス」の株価は大きく上昇しました。
関係者によりますと知人の男性は買い付けた株を高値で売り抜けることで数千万円の利益を得たということです。
TOBは、この年の11月7日から12月19日まで行われましたが株価の市場価格が買い付け価格の6600円を上回る水準で推移し、不調に終わりました。
当時の株価の動き
その後、株価はいくぶん上昇して推移し、およそ1か月後の10月9日の終値は5530円でした。
その翌日、会社が流通大手の「ユニー・ファミリーマートホールディングス」から「ユニー」の株式を買い取り、完全子会社にする方針であることが報道されると投資家の買い注文が集まり、前の日の終値から1日で520円上昇して6050円となりました。
さらに翌11日に正式に発表されると、株価はさらに630円上昇し、その日の終値は6680円となりました。
9月3日の終値と比べると1200円、率にして21%余り上昇したことになります。
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