いよいよ12月31日から第99回全国高校サッカー選手権大会が開幕する。今年は新型コロナウイルスの感染拡大により残念ながら無観客での開催となったものの、厳しい状況の中で勝ち抜いてきた48校が参加する。その中で奈良県代表の山辺高校サッカー部は、部員10人が寮で飲酒していた問題で出場するべきか否かが議論されていたが、辞退はせずに出場することが決まった。果たしてこの判断は正しかったのか? “教育の場”である学生スポーツにおける問題にどう向き合うべきなのか――。 (文=清水英斗、写真=KyodoNews)
山辺高校サッカー部は選手権出場辞退が妥当! その理由は…
先に結論をいうなら、奈良代表 山辺高校サッカー部は今回の第99回全国高校サッカー選手権大会を出場辞退するか、もしくは選手権本部の側から参加拒否をするのが妥当だ。 理由は同校サッカー部が、大会の参加資格を満たさないからである。高校サッカー選手権の大会要項には、[大会参加資格の別途に定める規定]がある。その一部を引用する。 (1)大会参加資格を認める条件 3.(中略)各学校にあっては、部活動が教育活動の一環として、日常継続的に責任ある顧問教員の指導のもとに適切に行われており、活動時間等が高等学校に比べて著しく均衡を失していず、運営が適切であること。 山辺高は上記の条件、「部活動が教育活動の一環として、日常継続的に責任ある顧問教員の指導のもとに適切に行われており」という部分に反する。 同校サッカー部の運営は、民間の『ボスコヴィラサッカーアカデミー』に委託されていた。今年8~9月に2年生部員10人が寮で飲酒をした際、その件を把握したアカデミーから、学校は10月7日に報告を受けている。ところが、それから2カ月の間、学校は何の対応もせず、問題を放置した。その後、写真等の追加情報が学校だけでなく、県教育委員会にも寄せられ、それを受けた本格調査によって問題は明らかになった。
学校、アカデミーの対応の問題点とは
なぜ、2カ月も問題が放置されたのか。アカデミーに指導を任せた学校は、寮内で起きたことを家庭内の出来事と同一に解釈してしまったと説明する。未成年飲酒の法は、その罰則を未成年の本人ではなく、制止しなかった大人に科す。家庭で行われた飲酒の責任が親にあるのと同様、寮で行われた飲酒も、学校外における行為であるから学校はタッチしないと拡大解釈し、対処を怠った。 一方のアカデミー側も、学校に報告した時点で、この件を済ませてしまった。どちらも相手任せで、責任の所在がなく、このサッカー部、あるいは寮における生徒指導の担当者は、実質的に不在である。 県教育委員会の吉田育弘教育長は、学校の認識の甘さ、指導者の責任を強調し、「学校としての責務を怠った」と謝罪。吉岡敏之校長も「今回の事案は私の認識の甘さによるもの」と謝罪している。 しかし、だとすれば、この山辺高に選手権の出場資格はない。「教育活動の一環として、日常継続的に責任ある顧問教員の指導のもとに適切に行われており、(中略)運営が適切であること」という選手権の参加条件に、明確に反するからだ。サッカー部の運営が適切でないことは、教育長や校長が自ら認めている。「このことで子どもたちの機会を奪ってはならない」と吉岡校長は話すが、適切な運営を怠った張本人が言うことではない。 この状況で出場を宣言する山辺高は筋が通っていないし、また、選手権本部の側も、参加資格を満たさない学校を出場させるべきではない。
からの記事と詳細 ( サッカー部飲酒問題の山辺高は、選手権辞退が妥当。感情論ではない「普遍的な2つの理由」(REAL SPORTS) - Yahoo!ニュース )
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