冒頭に、昨年5月に発表した「低収益体質からの脱却を図り、くらしアップデートを実現して新たなお役立ちを創出できる会社を目指す」中期経営戦略の進捗状況に触れ、「21年度1000億円の利益貢献に向け着実に取り組みを進める」とした。これを踏まえ、スピード感ある環境変化への対応、さらなる事業競争力強化で持続的な成長を実現することを目指して行うパナソニックグループの変革については、「伸ばすべき事業の競争力を高め、持続発展の姿を構築すること」と強調する。
「個々の事業がスピード感をもち、挑戦を重ねて競争力を高める組織体制を構築すること。制度面の見直しで事業現場を一層活性化することが極めて重要。また、環境変化に対応し、次の成長を確立できる体制を整えることも含め、グループ全体でより力強い成長の実現につながるべく、会社の形を抜本的に見直すこととした」と組織再編の狙いを説明した。
先日先行発表しているとおり、現在の7つの事業から成るカンパニー制を再編し、2022年度より持株会社制に移行する。体制変更により各事業には大胆な権限委譲を行い、自主責任経営を徹底することで「専鋭化」を加速。持株会社側は事業を積極支援、成長領域の確立や創出、投資など全社視点での成長戦略を実行、グループの事業価値を高める。
持株会社制への移行にあたり、パナソニック(株)の名称はパナソニックホールディングス(株)に変更。パナソニック(株)の名称は、現在のアプライアンス社とライフソリューションズ社をベースにした新事業会社が受け継ぐ。基幹事業の空間ソリューション事業を中心に、白物家電、中国での家電や住空間への展開とのシナジーを目指し、「幅広く人に向き合い、心と体にすこやかさを提供する価値の創出を追求する」とする。
さらに、進行中の中期計画で基幹事業とする現場プロセス、インダストリアルソリューション事業を事業会社として法人化する。車載電池事業は非車載電池事業と合わせてエネルギー事業として法人化、新たな基幹事業とする。
これら4つの事業をグループ発展の中核と位置付ける。さらに、オートモーティブ、ハウジング、スマートライフネットワーク事業については「事業会社としての競争力を磨き、現状抱える課題を克服し、全体の企業価値向上に貢献する」とした。
これら事業会社を支える位置づけにあるのが、持株会社であるパナソニックホールディングス(株)と、新設するプロフェッショナルサービス(株)。ホールディングス本社は、事業会社の成長戦略や競争力の向上を機能面から支援し、グループ全体の成長戦略を策定・実行し、全社的視点で企業価値の向上を目指す。プロフェッショナルサービスでは間接機能の提供価値をみえる化、高効率高価値の専門家集団を目指す。
制度面では、事業の先鋭化を進めるべく事業会社へ権限移譲し迅速な意思決定を実現する。事業責任者の結果責任を明確化し意思決定の質を高めるとして「信賞必罰のガバナンスを徹底する」とした。また制度を柔軟に導入してコスト構造を最適化し、業界での競争力を強化する。間接機能を軽量化し、プロフェッショナルサービスを別会社化することで経営の効率化を実現する。
続いて新体制で目指す事業戦略の3つの方向性について説明。パナソニック(株)領域では「人に向き合う領域は新パナソニックを中心に、くらしアップデートの中核として新たな価値提供に挑戦する。空調、空質をコアにアプライアンス社とライフソリューションズ社、旧松下電気、松下電工のシナジーを最大限に発揮、唯一無二の存在を目指す」。
現場プロセス領域では、「製造、物流、流通などについて、物づくりのノウハウやデジタル技術を掛け合わせてプロセスにイノベーションを起こす。企業の現場に入りこみ、ソリューションを提供し経営改革に貢献を果たす領域。長期的にも成長できると確信する」。
デバイスエナジー領域では、「電気、電子の視点で社会発展の基礎を支える。5Gなど通信インフラやモビリティ電池、この領域の進化なくしてグリーン社会は実現しない。技術、物づくり力を磨きプレゼンスを確立する」。
「まず目指すのは、各事業が先鋭化し競争力を高め、4つの事業を柱に高収益事業体を確立。持続的成長を実現すること。パナソニックブランドを共感されるブランドにしていくこと」とし、「新体制下ではブランドはグループ全体をつなぐ存在。一層重要な資産になる」と強調。
さらに「パナソニックの存在意義は、事業を通じて人々の暮らしと社会に貢献し続けること。変化の激しい時代で、我々が存在意義をまっとうするために事業再編は不可欠。自主責任経営でそれぞれが専門性をみがき、人の暮らしや社会によりそい、より深いお役立ちを果たす。パナソニック グループを社会発展に不可欠な価値ある事業の集合体として発展させる」と締め括った。
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