新型コロナウイルスの感染拡大に伴う東京都からの要請を受け、酒類を提供する飲食店とカラオケ店の午後10時までの短縮営業が28日から都内で始まった。期間は12月17日までの20日間。経営者らからは「忘年会シーズンの時間短縮は苦しい」などと悲痛な声が上がった。
JR新大久保駅前の通りに近い焼き肉店「
店長の小林利彦さん(41)は、「感染がここまで広がっている今、お客さんや従業員の健康を守るためには仕方ない」と肩を落とす。春先から客足は遠のいており、「開けていても以前ほどもうからない」とぼやいた。
都は、4月中旬から6月中旬、8月3日~31日(23区は9月15日)にも営業短縮を求めており、今回の要請は3度目となる。30年以上続く同店は、「地元密着」が経営理念。無理に営業を続けるとイメージを落とすかもしれないと考え、これまでも要請に応じてきたという。
春からの売り上げは前年と比べて4割ほど落ち込み、12月の予約もすでに10件ほどキャンセルが入った。
「年末は忘年会の予約が入る書き入れ時。この時期に営業時間を短くしなければいけないのは苦しい」と険しい表情を見せた小林さん。「都は飲食店を対象に安易に要請を繰り返すことがないようにしてほしい」と訴えた。
普段大学生などでにぎわうJR八王子駅前。この日の夜は人通りも少なかった。
同駅前にある中町商店会の佐々木英一会長(58)も、普段午前2時まで営業するバー「英国屋」を午後10時で閉めた。スナックなどを営む会員らからは「年末の時期に苦しい」と相談を受けたが、佐々木会長が「長い目で見て客の信頼を得るのはどちらか」と説得すると、会員で90店舗ある飲食店の8割ほどが時短営業に応じたという。
常連の会社員の男性(67)は「これから、という時間で終わってしまうのでさみしい。飲食業の人たちは今、本当に大変だと思うが、我々としても少しでも協力できればと思う」と話していた。
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