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設計者をはじめ、品質管理部や購買部の人なら中国の部品メーカーを訪問する機会は多いでしょう。依頼する部品メーカーの選定や金型に関する打ち合せ、不良品発生などトラブルへの対処、コストダウンについての交渉など、さまざまな用事で訪問すると思います。本コラムの第12回では部品メーカーを選定する際の訪問についてお伝えしました。今回は不良品が発生した際に部品メーカーを訪問するポイントについて紹介します。
迅速な原因究明に必要な訪問前の準備
不良品発生の原因が既に判明しており、その対策を話し合うために部品メーカーを訪問するのであれば、事前準備に迷うことは少ないでしょう。しかし、不良品の発生原因の究明から始めなければならない場合は、ある工程だけ終えたサンプルを用意してもらったり、普段は稼働している成形機などの装置を原因究明のために訪問時のある時間帯を空けてもらったりと、事前準備の内容もさまざまです。
とはいえ、私の経験上で言える一般的な準備としては次の6つがあります（図1）。［1］担当者の確認［2］QC工程表の入手［3］各工程の内製と外注の確認［4］図面の入手［5］治具と部品の準備［6］作業標準書・検査標準書の入手、です。以下、それぞれを順番に説明します。
図1 部品メーカーを訪問する前に準備しておくべきポイント
不良品の発生原因を迅速に究明するためには、事前準備が重要になる。（イラスト：闇雲）
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まず、［1］担当者の確認です。不良品発生の解決にあたり、その打ち合せやメールでのやり取りを日本語通訳とだけ行うのは禁物です。通訳の日本語レベル/技術レベルにもよりますが、不良品が発生した原因と想定される部門の技術リーダー（課長）や担当者との情報共有も必要となります。
不良品の発生原因の解明に必要な知識や会話の内容は、技術的により深いものとなってくるからです。日本語通訳にだけに情報を伝えていては、こちらからの要望や意思がなかなか伝わらない場合があります。よって必ず技術リーダーや担当者を確認して、打ち合せに呼ぶ人、メールでCCに入れる人を事前に明確にしておきます。特に不良品への対策の場合は、品質担当は必須です。繰り返しですが、日本語通訳にだけ情報を伝えて満足しないようにしてください。
次に、［2］QC工程表の入手です。不良が発生した部品は、かなり過去に製造されていたり、量産開始時には自分の担当した部品でなかったりする場合があります。そこで、QC工程表を入手して工程の全体像を把握し、不良となった部品がどのような工程で製造されたのかを知る必要があるのです。
工程の全体像を把握したら、［3］各工程の内製と外注を確認します。例えば、鋳造部品の切削加工や板金部品の溶接などが外注されていたら、そもそも訪問すべき部品メーカーが今いる部品メーカーではないかもしれません。こうした理由で、［2］と［3］は、訪問する前に確認しておく必要があります。
［4］図面の入手は、部品メーカーでオリジナルの図面を作成している場合、それが設計者の意図に合っているかを確認するのに必要です。中国の部品メーカーでは、例えば出荷検査の際、その検査で測定する箇所と判定基準（公差など）を記載した図面が別途作成されている場合もあります。その内容が適切かも確認します。
［5］治具と部品の準備では、不良品が発生したと想定される工程で使われている治具や、対象の部品を持ってきてもらいます。現在生産中でなければ治具は倉庫に保管されています。マシニングセンター（MC）に取り付けられている治具であれば取り外しておいてもらい、切削加工中の治具の確認をしたいのであれば取り付けた状態にしておいてもらいます。また治具の嵌合具合をみるためには対象の部品も必要となります。
最後は、不良品が発生したと想定される工程の［6］作業標準書・検査標準書の入手です。これらは原本が保管されているはずなので、それを持ってきてもらいます。
中国の部品メーカーを訪問して会議室でいろいろな話をしてから［4］から［6］を持ってきてもらうとなると、それだけで時間を費やし、原因究明の具体的な行動を開始するタイミングが遅れてしまいます。これらは部品メーカーに到着したらすぐに依頼するか、出張前にメールで依頼しておくのが適切です。
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July 01, 2020 at 03:01AM
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