【六川亨のフットボール縦横無尽】
4月24日の夕方、日本サッカー協会(JFA)からメールが届いた。午後5時から田嶋会長がWebブリーフィングを行うという連絡だった。
ほぼ定刻通りに始まったブリーフィングで田嶋会長は、新型コロナウイルスによって経営が困難となっている「Jクラブから街のクラブまで財政的に支援する事業」を立ち上げることを表明した。
日刊ゲンダイに掲載された田嶋会長インタビューをやった際、話題になった<選手の登録料免除>に関しては、払い込んだ選手に返金するか、もしくは寄付金として役立てる方針で新たに寄付金の口座を作る予定という。さらに学校は休校となって新年度の活動が停止しているので<新規登録者の登録料金>は、JFAが立て替えることになった。
3月29日のJFA評議員会で承認された支援金の財源となる7億円については、基本的に「クラブがコーチらを解雇しないように支払いたい。活動を再開したときに『あのスクールはなくなりました』『あのコーチはいなくなりました』とならないようにしたい」と使途の理由を語った。
今後はレフェリーやクラブ役員、さらには医療従事者にも支援の輪を広げていく考え。そのためには「7億円ではとても足りない」と田嶋会長は言う。そこで「(サッカー界の諸)先輩たちが蓄えたものや(天皇杯)100周年で貯めたものなど諸々ある財源」を支援に回す予定という。
■支援金の税源は7億円ではとても足りない
具体的にはクラブ(スクール)への支援額としては100万円を上限に80万円、60万円と柔軟に対応していく。申請はWebになるが、電話による相談窓口の設置を急ぐという。融資(無利子で長期の返済)なのか、給付になるのか、その判断は「ベースとして(申請者の)性善説を考えているが、47都道府県にも調査してもらいます。第1種(プロを含む社会人)から第4種(小学生)と女子もあるので、どのくらい逼迫しているのか、プロに調べてもらいます」と支援対象が多岐に渡る難しさも滲ませた。
これらの施策は「5月14日の(JFA)理事会でのゴーサイン(が必要)ですが、事前にアナウンスしてゴールデンウィーク明けには受け付けを始めたい」と迅速に行うことを明らかにした。
この<スピード感>については、Jリーグの村井満チェアマンに軍配が上がると言わざるを得ないが、これは<公益財団法人のJFAの場合、理事会やと評議員会を経ないと正式に承認されたことにはならない>ことも決して無関係ではない。
たとえば、村井チェアマンは2月25日にJリーグの延期を<チェアマン権限>で決定し、それから実行委員会と理事会の追認を受けた。元JFA副会長で不世出のストライカーでもある釜本氏が「協会は理事会の決定と評議員会の承認を経ないと正式に決められないのでどうしても時間がかかる」と話していたものだが、チェアマンの権限はJFA会長よりも強くて広範囲なのである。
この点に関しては、Jリーグ創設に尽力して専務理事などの要職を務めた木之本興三氏(故人)が、日ごろから「Jリーグ・チェアマンの権限を広げ過ぎた。それを行使するか、はあくまで個人の裁量となるが、それにしても個人に委ねる部分が多くなったことの危険性もあった」と憂慮していたものであるーー。
ともあれ、田嶋会長は「サッカー協会もキャッシュフロー(実収入)が足りるかどうか、分からないが、連盟本体のサポートやJクラブも支援しないといけない。この1カ月が重要なのでスピード感を持って立ち上げた」とJFAファミリー支援事業(仮称)の創設理由を語り、そこに<スピード感>を盛り込むことを忘れなかった。
サッカーファミリーに救済の手を差し伸べることができるのはJFAであり、そしてJリーグではないだろうか。新しい試みに期待しつつ、その際に出てくる問題点の対処も含め、今こそサッカー界の底力に期待したい。
(六川亨/サッカージャーナリスト)
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May 01, 2020 at 07:26AM
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JFAが支援制度創設…今こそサッカー界の底力に期待したい【六川亨のフットボール縦横無尽】(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo! - Yahoo!ニュース
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