3D類似形状検索。同程度の大きさで形が似ている過去の部品を検索し、その原価の実績を表示する。その値を原価企画の出発点にできる(出所:図研プリサイト)
図研子会社の図研プリサイト(横浜市)は11日、技術・開発設計部門向けの原価企画支援システム「Design BOM(デザインボム)」の供給を開始したと発表した。設計中の部品の3次元(3D)CAD(コンピューターによる設計)データを基に、過去に手配実績のある似た形状の部品を検索し、その実績原価を出発点として原価企画活動を進められる。型番やスペックだけでなく3D形状での検索により、直観的に扱えるよう開発した。
3D-CADのデータは、いったん軽量3Dデータ形式の「XVL」に変換した上で取り込む。XVLには形状情報に加えて部品やユニットの名称や品番、構成情報を持たせられる。
Design BOMはこれらの情報を基に、部品やユニットを名前や品番をあらかじめ並べた原価見積もりシートを作成する。技術者がこのシートに原価情報を記入し、合算して製品全体の目標原価を達成できているか、超過率はどのくらいかなどを把握できる。
部品ごとの原価の見積もり方法は、類似した過去部品での実績値と比較検討する方法を想定。そこで、同社が以前から実用化している3D類似形状検索機能を応用して、類似部品を検索して実績値を取得する。
原価見積もりの手法としては、コストテーブルをあらかじめ構築しておいて設計者が参照する方法もあるが、「類似部品の実績を参照する方が取り組みとして容易だ。一方で個人の知見によるバラつきが出やすいため、システムによって底上げが図れないかと考えた」(図研プリサイト社長の尾関将氏)という。
図研プリサイトは製品ライフサイクルマネジメント(PLM)ツール「Visual BOM(ビジュアルボム)」を開発・販売しており、そこで開発した機能をベースに、XVLの取り込みや、表計算ソフトExcel(エクセル)への出力機能などを加えて原価企画支援に特化させた。全社の情報部門というより技術・開発設計部門による導入を想定している。そのため月額利用料金を20万円(税別)と抑え、初期費用なしとした。
(日経クロステック/日経ものづくり 木崎健太郎)
[日経クロステック 2020年5月11日掲載]
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