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Tuesday, April 14, 2020

パスの成功率まで予測――サッカーをデータ化して分析するSciSports(TechTargetジャパン) - Yahoo!ニュース

 セガのコンピュータゲーム「Football Manager」のコンセプトは現実にも生かせると考えたゲーマーがオランダで起業した。その企業は、やがて2018年のワールドカップでベルギー代表をサポートすることになる。

 そして今、2020年夏のUEFA欧州選手権ファイナルに備え、各国のチームはパフォーマンスを最高の状態に仕上げる方法を模索中だ。そこで重要な役割を果たすのがデータだ。

 オランダのテクノロジー企業SciSportsが専門とするのがサッカーデータの分析だ。同社は2018年のワールドカップでベルギー代表を支援して、対戦相手を分析した。同社のCIO(最高情報責任者)を務めるギエルス・ブローウェル氏は次のように語る。「対戦相手の弱点がどこにあるかを知ることは非常に興味深い。弱点が分かれば、対策が可能だ」

 だが、監督にとってもっと興味深いのは、自身のチームの弱点を知ることだという。

 SciSportsのコンセプトは7年前、オランダのトゥウェンテ大学で誕生した。ブローウェル氏と2人の同級生は、多くのサッカー選手がスカウトの完全な直感で勧誘されていることに気付いた。「もっと効率的にスカウトできると考え、その決定のサポートに使えるデータに注目し始めた」と同氏は話す。

 3人の学生がヒントを得たのがコンピュータゲーム「Football Manager」だった。このゲームでは、ゲーマーがサッカークラブのテクニカルディレクターの役割を担い、選手を選んで獲得し、適切な戦術を立てて試合に臨む。「これを現実に生かせると考えた」とブローウェル氏は述べる。

 同氏はオランダのFCトゥウェンテのインターンシップに参加し、さまざまなデータセットに基づいて選手や試合の分析を行った後、インダストリアルエンジニアリングの研究を完了した。その後、選手の分析とスカウト戦略の強化にはデータが不可欠になるというビジョンの下、2人の同級生と共に1つのプラットフォームを築き上げた

 SciSportsの「Insight」は、全世界9万人のサッカー選手に関するデータを保持する。このプラットフォームを使えば、クラブや国はチームに最適な選手を非常に効率良く見つけられる。

 ブローウェル氏は次のように語る。「例えば、あるクラブがスロベニアで最も才能ある選手を求めているとする。その場合、スカウトは少なくとも2カ月間現地に滞在し、あらゆる種類の試合と選手を観察しなければならない。結果として、多くの選手を目にすることになる。誰もが優れたパフォーマンスを見せる。だが、クラブが求めるレベルには達していないと感じてしまう。当社のデータベースを使えば、求めるレベルに達した選手だけに注目できる。このように焦点を絞れば、効率は大きく高まる」

 スカウト、クラブ、国の代表チームは、あらゆる種類の変数を使ってデータベースを検索できるとブローウェル氏は話す。「例えば、スカウトがFCユトレヒトに所属していて、クラース・ヤン・フンテラールに匹敵するストライカーを探しているとする。そこでInsightを使えば、フンテラールと同等の選手を、例えばEU国籍かつ年俸500万ユーロ未満という条件で探すよう検索クエリを設定することができる。すると、この条件に合致する選手をシステムが弾き出す」

 Insightを支えるのは、SciSportsがイタリアのデータプロバイダーから購入しているデータだ。このデータプロバイダーは、多数の従業員がこれまで開催されたほぼ全てのプロの試合からデータを手作業で集めている。「同社はいわゆるクリックファームだ。パスを出した場所、クロスの精度、ゴールにつながる動きなどを記録するのは同社の従業員だ」と同氏は話す。

 SciSportsはこのデータを土台にアルゴリズムを構築している。そのため、Insightのユーザーは全データを自分でくまなく確認しなくても、簡単に洞察を得ることができる。

 「例えば、選手がチームに与える効果やゴールにつながる動作の影響を測るとする。そこで大きな役割を果たすのが機械学習だ。それが全ての基盤となる」(ブローウェル氏)

 3年前、1人の機械学習専門家がSciSportsの一員となる。そして今や選手の潜在能力を予測する機械学習チームを結成するまでになっている。この予測システムは、試合中の各パスの効果とチームの得点能力を、システムに蓄えた1億本の同様のパスと比べる。「こうしたパスの何本が最終的にゴールにつながったかを確認できる。そのため、特定のパスがゴールにつながる確率をある程度予測できる」と同氏は話す。

 前述の通り、Insightの大量のデータはイタリアのクリックファームから入手していた。さらにブローウェル氏は、2015年にBallJamesという別会社を立ち上げた。同社が提供するのはカメラシステムだ。このシステムは、動画を3Dデータに自動変換し、クリックファームのニーズを減らす。「今のところ、当社にとって完璧な操作性とは言えない。BallJamesはまだ自社のカメラ映像しか利用していないためだ。例えばコロンビアのスタジアムには自社のカメラがない」と同氏は語る。

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