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Saturday, March 14, 2020

【千葉】「サッカーを辞めようと…」負傷、契約満了を乗り越えて川又堅碁が示す復活への道(SOCCER DIGEST Web) - Yahoo!ニュース

磐田での苦しい日々を経て――

 今年1月。千葉の沖縄・南城キャンプには、練習生として参加するFW川又堅碁の姿があった。川又といえば、日本代表歴もあり、Jリーグでは通算88ゴールを奪ってきたストライカーである。2017、2018年には磐田(当時J1)で2年連続二桁得点を記録する活躍を見せたが、昨年は怪我に泣いた。特に大きかったのが4月に負った右肩関節脱臼だった。 

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「思うようにプレーができず、サッカーを辞めようと、いや、辞めようじゃなくて、辞めざるを得ないのではないかと思うほど、手が動かなかった」

 神経麻痺、腱板の損傷、断裂など脱臼以外にも負傷は及んでいた。なかなか完治せず、不安な日々。さらにチームは残留争いに巻き込まれて苦しんでいる。「こんな時に力になれずに、何がエースだ――」。そんな想いで無理に復帰したものの、「正直、サッカーができるような状況ではなかった」。当然、結果を出せるわけもなく再び戦線離脱。そしてチームはJ2に降格し、自身には契約満了の通知。青天の霹靂だった。
 それでも、J1チームからオファーをもらえるのではないかと思っていた。完治さえすれば輝きを取り戻す自信もあった。しかし、J1クラブはおろか、J2のチームからさえオファーが届かない。厳しい現実を突き付けられたが、前述したようにJ2を戦う千葉のキャンプに練習参加し、正式契約を勝ち取った。

 キャンプでは途中、別メニューだったこともあり、リーグ開幕前の2月9日に行なわれた柏とのちばぎんカップはベンチスタート。ただ61分に登場して存在感を示すと、翌日に行なわれた柏との練習試合ではクロスからゴールを決め、しっかりリーグ開幕戦に照準を合わせた。

「今はサッカーができる喜びで一杯」

 そして迎えたリーグ開幕戦のFC琉球戦では先発出場を掴み、開始直後、堀米勇輝のクロスを米倉恒貴がヘッドで決めたシーンでは、潰れ役として貢献した。開幕戦前々日には、「クロスに対しては自信を持っている。そういった形からチームとして得点できればいいし、自分が潰れたところで周囲が点を取れればいい」と話していたが、その言葉どおりのシーンとなった。

「本当は狙っていたんだけどね。取りたかった」

 試合後、それまでの厳しい表情から一転、明るい笑顔を覗かせた。昨年の苦労が報われた瞬間だった。

「今はサッカーができる喜びで一杯。昨年は毎日がきつかったけれど、いろいろな人に出会い、助けてもらった。あの怪我さえなければという思いはあったし、いろいろな悔しさもあった」
 
 ここまで回復するには、筆舌に尽くしがたい苦労があった。だからこそ、プレーできる喜びに満ち溢れている。

「若い頃よりも気持ちは昂っている。怪我をして一度は表舞台から消えたけれど、もう一度、這い上がるシーズンにしたいし、最後、みんなで笑える結果を残すためのプレーをしたい。今年は本気の年。いろいろな人に感謝を込めながらプレーしたい」

 現在、Jリーグは新型コロナウイルスの影響で公式戦が延期となっているが、川又は再開に向けて余念なく歩を進めている。

取材・文:加茂郁実(フリーライター)

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