地方や郊外の百貨店閉店が相次いでいる。30日に閉店する伊勢丹府中店(東京都府中市)▽伊勢丹相模原店(相模原市)▽山交(やまこう)百貨店(甲府市)-など今年は全国で10店舗超が閉店する予定だ。閉店数が2桁となるのはリーマン・ショックで景気が減速した平成22年以来、9年ぶり。都市部に比べて景気低迷や人口減少のあおりを強く受けるほか訪日外国人による需要増も見込みにくいためで、各地で中心街の顔が姿を消そうとしている。
平成8年から23年間の歴史に幕を閉じる伊勢丹府中店。25日から始まった閉店セールには名残を惜しむ得意客が列をなした。正面入り口に置かれたケヤキのモニュメントには、葉っぱ形のメッセージカードがつるされ、「子供と同い年の伊勢丹。今までありがとう」などと書き込まれていた。担当者は「多くの方に愛されていたことを実感します」と話す。
売上高は開店初年度の約260億円をピークに徐々に減少。最近は本業のもうけを示す営業損益が赤字に陥っていた。28年に食品エリアを改装するなどてこ入れを図ったが、赤字解消には至らなかった。
同店だけではない。今年に入って棒二(ぼうに)森屋(北海道函館市)や中三(なかさん)青森店(青森市)など長らく地域経済を支えた地方や郊外の百貨店が相次ぎ閉店。8月には大和(だいわ)高岡店(富山県高岡市)など3店が営業を終えた。日本百貨店協会によると、19年に278店あった全国の百貨店は30年までの11年間で59店減少した。
総売上高も約7兆7千億円から約1兆8千億円も目減りした。減少の度合いが大きいのは東京、大阪、名古屋など主要10都市を除いた地区で、こうした地区の減少幅は1兆円余りと、全国で目減りした分の過半を占める。
背景にあるのはリーマン・ショック後の地域経済低迷と少子高齢化に伴う人口減少だ。総務省統計局によると、30年に転入が転出よりも多い「転入超過」の都道府県は、東京近郊のほか大阪府、愛知県などの計8都府県。他の39道府県は転出が転入よりも多い「転出超過」だった。年代別では20~30代が多かった。消費の主役となるべき若年層の地方離れが、地方百貨店の業績不振に直結している実情が浮かび上がる。
加えて、近年は競争環境も厳しさを増す一方だ。経済産業省によると22年には7・8兆円だった国内のインターネット通信販売の市場規模は、30年までの8年間で2・3倍に拡大。フリマアプリなどによる個人間取引市場も、28年の約3千億円から30年には約6千億円と、2年間で約2倍に急成長している。
近年は交通機関の整備で都市部へのアクセスが改善され、郊外百貨店は都市部の百貨店にも顧客を奪われている。
日本百貨店協会の西田光宏事務局長は「地方経済の減速は複合的な要因がある。都市部の百貨店なら訪日客に支えられる面もあるが、地方ではインバウンド需要がない」と分析している。(出口賢太郎)
2019-09-28 13:07:00Z
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190928-00000589-san-bus_all
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